画像:photoACぐっとぴさん
海外営業の大半はリモートワーク
新型コロナウィルス感染症(COVID-19)で、もっぱら推奨されるようになったリモートワークですが、海外営業のわたしは、そもそも物理的にそれほど多く、世界各地を訪問できるものでもないので、基本はリモートワーク。
気にすることと言えば、タイムゾーンの違いぐらいで、無料のビデオ通話機能を使って会議をするこには全く抵抗がないので、自粛生活が始まる前と後では、働き方に、それほど変化はありません。
ただし、やはり、いくらビデオ通話で顔をみて話ができるとは言え、距離の縮まり方は実際に彼らをフィジカルに訪問し、ハグをしたり、一緒にご飯食べたり、同じ空気をすったり、顧客訪問をするのとしないのとでは雲泥の差です。
とは言え、今、実際に彼らを訪問できない状況の中、リモートワークで、できる限りの営業活動をしていかなければなりません。
リモートワーク8~9割の中、いかにして、各国の代理店や市場(顧客)を理解して、こちらから自発的に働きかけられるか、それが大事と思って仕事しています。
リモートで海外営業レビュー
できる限り、海外代理店の営業レビューは現地に出向いて、顔を合わせて行うようにしていましたが、今回は、コロナの影響もあり海外出張ができないので、リモートで海外営業レビューを実施しています。
海外代理店が14社あるので、まずは私のほうで、数字の分析をして、その数字をもとに各代理店営業にレビューをしてもらって、
①前期数字(結果)の評価
②前期活動内容の評価
③今期目標(数字)の設定
④今期活動内容の計画
を各代理店から報告書をもらっています。
なんせ、ひとりで14社のレビューなので、結構大変なのですが、なんとか頑張ってます(;'∀')
代理店から提出してもらった報告書をもとに、ビデオ会議にて、
①報告内容のヒアリング
②詳細突っ込み質問
③当方の要望を伝達
④先方の要望の吸上げ
⑤目標設定の合意
などを主にします。
わたしは、無料スカイプビデオ通話を利用することが多く、MAX4か所でビデオ通話しましたが、今のところ、1時間~2時間ほど話をしても、途切れることもなく会議ができています。
海外代理店営業レビューは、数字をもとに、目標達成ができていない、そして営業活動も不透明というところには、厳しい突っ込みを入れつつ、動いてもらう働きかけをしなければならないので、いろいろ難儀です。
同じテーブルで顔見て話をするならまだ良いのですが、リモートで厳しいことを言うのは、言う方も、言われるほうもしんどい。
なかには、自身を責められていると感じて防御システムが働き、攻撃に転じる人もいますから、そのあたりの議論のかじ取りは、リモートであればなおさら難しいです。
海外営業の難しさ
今のところ、中東、ロシア、アフリカ、南米、オセアニアには注力できずですが、大きな大陸に分けて、北米、アジア、欧州を主なターゲットにして仕事をしています。
海外営業の難しさは、なんといっても、ダイバーシティー(多様)な環境の中、バックグラウンドが異なる人々と共に働き、彼らに自分たちと同じ方向を向いて、仕事をしてもらって、結果を出すことです。
同じ日本人同士でさえ、ある一定のグループ単位になると、なかなか同じ方向を向いて、同じ熱意で働いてもらうのは難しいものです。
ましてや、文化や習慣、そして価値観も異なる人々を対象に、自発的に働きかけて、気持ちを引き寄せて、優先度を上げて仕事をしてもらうには、相当のリーダーシップ、そして人間力が必要です。
特に欧米の人たちは、自身の考えも明確で、主張が強いため、特に損得勘定や自身のポジショニングを脅かされるとなると、反発や抵抗も強くなりがちです。
特に、営業職というのは、結局のところ「数字が全て」ですので、数字があがってこなければ、評価されないのです。
ただし、この「数字をあげる」ということが、時間軸のどのあたりで、どの程度というのを明確に双方で合意ができないと、評価が難しいです。
また、数字があがってこない場合、「まずは双方の信頼関係構築が大切」と主張してくる代理店も多く、「君は数字しかみないのか。僕たちの営業努力は評価しないのか。」と詰め寄られるケースもあります。
営業レビューの際には、メーカーと販売店の立ち位置の違いによる評価に対するズレが顕著に生じる場合もあります。
メーカー側(わたし)は、各市場において販売を任せられるであろう代理店を任命するわけで、当方からの先方への期待は大きい。
期待とは、当方の商材販売に対して、彼らが投資の優先度合い(ヒト・もの・金)と、それに伴うアウトプット(数字も市場情報も含め)のことです。
しかしながら、多くの場合、各国に任命された代理店というのは、当方を含め約50社のメーカーと付き合い、数百万点の商材を扱っており、どこのメーカーのものでも良いから、売りがあがればよいのです。
メーカーにとって代理店は、Only Oneの存在であり、代理店にとってメーカーとは、One of Themという存在なので、特に売りずらい商材の場合は、そこに大きなギャップが生じてしまうのです。
わたしが扱う商材は、残念ながら容易に売れるような商材ではなく、事業開拓的な要素と能力が絡まないと、なかなか売上に結び付かないという難しさがあります。
なので、代理店側は、なかなか結果がでない→優先順位が下がる。
でも一方で、当方の商材は、ユニークかつニッチな商材なので、「いつか当たるかも」そして、「当たれば大きいかも」という期待感を持たれるので、できることなら持っておきたい商材という位置づけなのです。
いってみれば、骨とう品のような、オタク的な商材なのです。
商材の難しさに加え、代理店とメーカーという立場が異なる考え方の違いの狭間において、各国のダイバーシティーな方々とお付き合いを通じて、結果を出さなければならないので、いろんな意味で海外営業は難しいです。
海外営業の面白さ
海外営業の面白さは、なんといっても、ダイバーシティーな環境で働くことにより、新しい発見と学びが多いということです。
海外各地、会社のお金で、いろんな国や都市に出かけられるというのも、海外営業の特権だと思います。
日本国内で、日本人だけの環境で仕事をするよりも、ダイバーシティーな環境で働くほうが、いろんな意味で刺激を受けます。
わたしが一番面白いなと感じているのは、出会わなければ知る由もない各国の裏事情や、社会システムなど実情に触れることができることです。
テレビやインターネットなどの媒体で知り得る情報とは、まったく異なる実態が現場にはあったりするので、
①現地に行ってみないとわからない
②現地の人に聞いてみないとわからない
ということが多々あるので、そういった一次情報に触れられるということに価値を感じます。
現地で数人に聞いた話が全て正しいとは限らないけど、実際にその土地で生活をしている人の話には真実味があり、自分の知らない世界がそこには広がっていて面白いのです。
また、仕事の仕方、考え方、組織の在り方、人との関わり合い方など、その国々によって違うので、一緒に仕事をしていて、難しさを感じる反面、面白いなと思うのです。
国が違えば常識も違うので、「絶対〇〇」なんてことはなく、自分が考える正当性なども、ガラガラと崩れ去ることもあるので、もっと自由に、もっと無限な可能性を感じて、仕事を通じて生きられるというのは幸せだなと思います。
また、世界には優秀な人がそれこそたくさんいるので、優秀な人たちから学ぶ機会があることは、本当にありがたいなと思います。
試行錯誤の日々
仕事に限らずどんなことでも、人は日々問題や課題に直面するわけで、種類は違えど試行錯誤の日々を過ごすものなのだろうと思います。
わたしの場合は、人生において仕事が大半を占めるため、どうしても仕事の話が主となりますが、わたしにとって、海外営業というお仕事は、大きな学びを得られる機会であり、また試練なのです。
つい最近も、海外のある代理店営業とちょっとしたことから緊張が走り、今まで築き上げてきたフレンドシップや信頼関係が崩れる危機に直面しました。
営業レビューをメールでやり取りしている際に、良くある話で議論の的がズレてきて、お互い責めてはかわすような状況に陥り、「ビデオ会議で話をしよう」ということになりました。
不思議なもので、人は、顔をみて実際に話すことで、わだかまりや要らぬ議論から解放されるものです。
シャープな議論展開をしつつも、お互いそれなりに「大切な相手」という気持ちもあることから、尊重する気持ちもあるから、不用意に相手を傷つける発言を避け、なんとか、プロフェッショナルに着地できるような議論展開ができました。
今後も、こういったギスギスしたり、イライラしたり、相手を責める気持ちが出てきたり、きっといろいろあるのだろうけど、真摯に向き合う気持ちを忘れなければ、解決できるものと信じて、今日も明日もがんばります。
それでは、みなさまhave a nice day
by ちびまる