画像:photoAC 涼風さん
海外取引先と、当方のマネジメント間の商談が増えて、気がついたことがあります。
相手方のお国柄的な文化、業界的な特性、企業文化、そして個人的なキャラなどを考えて、商談や関係構築をしていく必要があるというのは当然のことではあるのだけれど、
相手方を理解する以上に、自身が勤める企業文化、組織体質を熟知し、理解した上で商談のファシリテイトをしないと、物事がうまく進まないということです。
これは、国が違うから、ということに限らず、同じ日系企業であっても、組織の大小の違い、老舗なのか、ベンチャーなのか、などによっても、大きく違ったりします。
商談してても、イマイチ、噛み合わず、失敗するケースもありますが、たいてい、双方が、相手方に興味を示してない、自分の利益だけを考えている場合が多いように思います。
失敗する理由のほとんどが、双方の価値観やポリシーなどに関する理解不足、相手の個性や特性を無視したアプローチによるものだと、わたしは思っています。
これは、個人の人間関係の構築と同じこと。
まずは相手を囲い込む
わたしは、なんとしてでも成立さえた商談の場合、念入りに下準備をします。
「先方が取引を希望する場合」に限りますが、まずは相手を囲い込みます。
先方のキーパーソンに、当方と取引を望む理由や背景を詳細に伺って、ゴールは何か、当方にとってのメリットは何かをまずは把握します。
取引する価値があると思えば、まずは、相手企業(外国企業)の決定権のある人とのパーソナルな信頼関係構築し、組織の前に「わたし」を個として信頼してもらう努力をします。
また、私自身が、そのキーパーソンを信頼できるかどうか、ということも重要な鍵となります。
それから、相手方に対して、当方とのマネジメントと商談が成立するように協力を仰ぎます。
WIN/WIN の関係構築に向けて、相手方のキーパーソンと徹底的に戦略を練ります。
自社の上層部に、商談が上手くいくように協力を仰ぐよりも、当社と取引を望んでいる相手方を味方につけるほうが、後からの商談や人間関係構築がスムーズにいくと感じています。
相手を囲い込む理由
理由はとてもシンプルです。
社内では、わたしには商談の決定権がないし、協力を仰ぐ相手が経営層となると、上下関係は明らかですし、決裁権がないわたしの立場は弱く、イニシアチブがとれないからです。
当たり前のことですが、経営層は相手とのWIN / WIN という関係を築くことよりも、まずは自社の利益を最大限・最優先に考えます。
よって、なんの下準備もせずに初対面で商談に望むと、まずうまくいきません。
一方で、わたしと相手方の企業のキーパーソンの関係は対等というのがあります。
相手方は商談を成功させたい願望があるので、相手方の窓口が社長であろうと、わたしが当方の窓口である以上、わたしを尊重してくれますし、耳を傾けてくれます。
関係性が対等でありかつ、「個」として信頼関係を構築できれば、話しは早く、オープンにいろいろ話ができます。
商談した準備の工夫
事前にたくさん話す
まずは、日本人の国民性、そして、当社の企業体質、文化について話をし、相手に理解を求めます。
ビデオチャットを何度か繰返せば、だいたいその会社のことも、キーパーソンの人となりもわかってくるので、雑談も含めて、たくさん話して友好な関係を構築します。
プロジェクターを使わない
プロジェクターを使ったプレゼンは、一見プロフェッショナルにみえますが、聴いているほうも、プレゼンするほうも、たいていの場合、お互いの顔ではなく、資料が映し出されるスクリーンを凝視します。
そして、たいがい、つまらない時間が過ぎていく。
限られた商談時間の半分ぐらいを、前方のスクリーンを凝視するはめになります。
資料を使う場合は、テーブルに置いて話しをするほうが、お互いの目線を合わせて話す機会も多いですし、目線が合えば、聴いている側も質問しやすくなります。
Meeting on the table っていうやつですね。
信頼関係を築くまでの間は、雑談も必要ですし、相手の表情や声のトーン(熱意、誠実さ)を感じること、そして、何より会話のキャッチボールをたくさんしたほうがいいと思っています。
プロジェクターを使ったプレゼンは、リスナー(ほとんどの場合、当社の経営層)が、「聞きたい、もっと詳しく知りたい」という気持ちになった時に、初めて効果がでると思っています。
説明に終始しない
ありがちなのが、会社説明・商品・サービスの説明に終始してしまって、話しをする時間があまり取れないまま商談が終了してしまうこと。
たいていの場合、「ただ、会っただけ、話しを聞いただけ、後に発展せず」で終わります。
これでは、お互い時間を費やして、商談する意味がありません。
よって、わたしは、予め先方には会社案内のプレゼン資料を自分宛に送付してもらい、まずは、わたし向けにプレゼンをしてもらいます。
それから、あらかじめわたしから、マネジメントに会社情報をインプットしておきます。
基本情報がある上で商談するほうが、議論に集中できますし、一方的な説明をある程度防げます。
プレゼン内容を事前チェック
商談相手には、彼らのプレゼン資料を事前に送ってもらって、わたしのほうで事前チェックし、わかりづらいところを修正してもらいます。
特に社長に対しては、時間をかけて、なるべく丁寧かつ簡潔なプレゼンを心掛けてもらいます。
Q&Aを事前に準備
商談前にマネジメントに商談概要を理解してもらうようにしています。
相手には、想定問答の回答を予め準備してきてもらうようお願いをしておきます。
そうすることで、その場で確認したいことが全て確認できるので、判断をその場でしやすくなります。
不安材料がなくなり、相手方の企業との取引への安心感、そして期待感が生まれることで、契約手続きもスムーズにいき、その後の取引もスムーズです。
ビジネスは呑みの席で決まる
なんだかんだいって、ひとは、感情で生きるものだし、好きな相手に傾向します。
呑みの席で仲良くなれれば、信頼関係構築も早いし、なんでも腹を割って話しやすくなりますので、具体的なビジネスに発展することも多いです。
わたしの役割は、会話が弾むように、話しのきっかけ作り、そして、会話の中での相槌、突込み、そしてフォローです。
普段から、経営層と話しをたくさんする機会を持っていると、わたしも経営層の人たちと雑談をする機会も増え、その人となりのエピソード、昔話、成功話、失敗談、笑い話など、話しのきっかけ作りの引き出しを持っておくことができます。
通訳しながら、ごはんも食べながらの、話題提供、相槌、突込みなどをするのは忙しいですが、話しがはずんできて、談笑している姿を横で見ているのは楽しいものです。
結局、企業同士の話しであっても、最終的には個々人の信頼関係、フィーリング、あうんの呼吸など、人間らしい、感覚的なところで話を進めていった方が、いろいろ物事がうまくいく気がします。
人間らしさが感じられる仕事は、面白いなと感じています^^
それでは、have a nice day
by ちびまる