- Trust 信頼は人生最大の財産
- 国際ビジネスにおける信頼関係づくり
- 国際ビジネスにおける会話のアプローチ
- 国際ビジネス現場における、日本人にありがちな問題
- 対面商談できない場合の商談の進め方
- 職業柄の特性に合わせたアプローチ
Trust 信頼は人生最大の財産
Trust(信頼)
わたしが一番大事にしていることです。
ビジネスであろうと、プライベートであろうと、人と人との付き合いは、相手を信頼できるかどうか、相手に信頼されるかどうか、それが一番大事と思って生きています。
個人としての信頼関係なしには、ビジネスは上手くいかないとわたしは考えています。
相手との信頼関係は、コミュニケーションの質そして相手に対する姿勢(在り方)が大きく影響します。
信頼関係は、ちょっとした不誠実により、簡単に壊れてしまう儚いものです。
だからこそ、日々のコミュニケーションと相手に対して誠実な姿勢で対応し続けることは、相手への信用貯金の積み立てであり、コツコツとマメで丁寧な対応をし続けていく必要がります。
国際ビジネスにおける信頼関係づくり
わたしは仕事柄、さまざまな国の取引先やお客様を相手に、テレビ電話、Eメール、対面での商談など、ビジネス英会話を通じて、情報伝達をしたり、意志の疎通を図ったり、情報収集をします。
わたしが主に海外出張に出かける目的は、国際学会展示会場でのビジネス商談や、エンドユーザーに向けた商材のセールス/マーケティングです。
わたしが扱う商材はB to Cの一般商材ではなく、研究現場で使われる試薬の販売であり、B to Bビジネスが主です。
対応する相手先のお国はバラエティに富み、わたしが覚えている限りで下記55ヶ国にのぼります。
(1)北米・(2)カナダ、(3)メキシコ、(4)ブラジル、(5)アルゼンチン、(6)ペルー、(7)チリ、(8)ロシア、(9)中国、(10)韓国、(11)香港、(12)台湾、(13)マレーシア、(14)インドネシア、(15)タイ、(16)シンガポール、フィリピン(16)、オーストラリア(17)、ニュージーランド(18)、インド(19)、カザフスタン(20)、パキスタン(21)、サウジアラビア(22)、イラン(23)、イスラエル(24)、シリア(25)、ジョージア(26)、トルコ(27)、フィンランド(28)、ノルウエイ(29)、スウエーデン(30)、デンマーク(31)、ラトビア(32)、リトアニア(33)、ウクライナ(34)、ポーランド(35)、ドイツ(36)、チェコ(37)、ルーマニア(38)、オーストリア(39)、クロアチア(40)、ハンガリー(41)、ギリシャ(42)、イタリア(43)、スペイン(44)、オランダ(45)、ベルギー(46)、フランス(47)、ポルトガル(48)、イギリス(49)、アイルランド(50)、エジプト(51)、エリトリア(52)、ナイジェリア(53)、カメルーン(54)、南アフリカ(55)
55ヶ国の人々と仕事の話をする機会というのは、そうそうあるもんじゃありません。
そう考えると、今自分が携わっている仕事や任務は、なかなかできる経験ではないですし、ありがたいことだと思っています。
これだけの国々の人たちと、なんらかの形で、今自分が扱っている商材についてお話する機会はありますが、具体的に一歩踏み込んだ商談や、プロジェクトに一緒に取組んだリする人たちは限られてきます。
今現時点でコンスタントに、どっぷりと信頼関係づくりに取り組んでいる相手先の国は、北米、ドイツ、スウエーデン、オランダ、香港、台湾、シンガポールです。
信頼関係を構築できるか否かは、下記項目をクリアできるかどうかが鍵です。
〇お互いを必要としている関係であるか
〇お互いバランスの良い関係であるか
〇お互い利益が得られるWIN/WINの関係であるか
〇お互いの立場を尊重する気持ちがあるか
〇フレンドリーで心を開いた協議ができるか
〇お互い優先順位を高く持てるか
〇話す話題(アイディアや問題定義)が山ほどあるか
〇気軽に会話ができる環境があるか
〇歩み寄りの姿勢があるか
上記にあげられたことは、プライベートなお付き合いでも共通する点がたくさんあります。
ビジネス上は、もちろん自分が属する組織人として、お互いの企業のビジネスにとって、利益を生むコラボレーションを見出せなければ、ビジネス関係を構築することも維持することもできません。
当然のことですが「お互いの利益があること」が前提のお付き合いになります。
お互いの利益が上手く合致し、お互いの窓口担当や企業の在り方や姿勢、人柄や社風が自社(自分)と合うようならば、その関係性は上手くいきます。
窓口担当者間の信頼関係も構築することができ、仕事を超えて、プライベートな友人関係に発展することもできます。
ひとつでも上記の条件が満たせない状況になってくると、その関係性は希薄なものとなっていきます。
基本は、お互い、自分をどれだけ大事に思ってくれているのかを実感しながら、関係維持をしていきます。
中小企業で働く面白さはここにあります。
大きな組織の枠組みに縛られず、比較的自由に、国際的な人的ネットワークをビジネス上で構築していけます。
相手が自分を大事と思ってくれている、それを感じていられる間は、相手に対して好感を抱き、相手に対して尊重や大事にしたいという気持ちを維持することができます。
それさえ感じられれば、相手がどんな国のバックグラウンドを持っていようが、ビジネス上の信頼関係の構築や維持の仕方や要素に大差はありません。
国際ビジネスにおける会話のアプローチ
信頼関係を構築・維持する要素としては、どの国の人や企業であっても、大差はありませんが、コミュニケーションの取り方については、お国柄や相手方の窓口担当者の特徴、そして相手との関係性や会話の主旨により若干異なってきます。
わたしは、ビジネスパートナーを探す時には、下記のようなアイスブレーキングの流れをつくります。
ポイントは、お互いがコラボレーションする意思(もしくは興味)がある場合です。
〇笑顔で明るく挨拶する(声のトーンは高めに)
〇時間を作ってくれたことに感謝の意を表す
〇自己紹介は手短に、相手に話しをさせる
〇会議のファシリテイトをし、会話を弾ませる
〇仕事以外の話(雑談)もし、人間味のある会話にする
〇時々ユーモアを挟み和ませる
と、こんな感じです。
中小企業相手でコラボレーションの商談の場合は、スカイプ無料テレビ電話を利用し、お互いコストを考えずに、とにかくいろんな話をしながら、情報収集をし合ったり、お互いの人間性や人柄を通じて、相手方の企業や社風を理解するために時間を使います。
一方で、相手が完全な顧客であり、コラボレーションというよりは、サービスや製品の提供にともない、初めて電話会議をする場合は、まずは相手のニーズをしっかり理解し迅速にニーズに対応します。
相手のニーズを満たすことが主目的な会話の場合は、挨拶は手短に、ビジネスライクなアプローチをします。
相手が大手グローバル企業の場合は、スピーデイに相手の質問や要望に応えていくことが信頼獲得につながりますので、余計なことはしゃべりません。
わたしの経験上では、大手グローバル企業が相手である場合は、まずスカイプ無料通話は利用できない事が多く、先方が指定してくる電話会議システムを利用することが多いです。
また、大手グローバル企業との電話会議の場合は、複数国から複数人が会議に参加するケースもあり、初めて話す相手で顔が見えない電話会議を有意義なものにするには、高いファシリテイト能力が求められます。
こういった複雑な会議の場合、誰が、何を、誰に向かって話しているのか把握するのが困難です。
こういった会議の場合は、わたしがファシリテイトをすることを相手に了承を得て、会話のルールをまずは決めます。
ルールは2つ。
①各人が話す場合は、自身の名前を言ってから話し始めること(例:John speakingなど)
②誰かに質問がある場合は、質問する相手の名前をまずは言ってから質問すること(例:I have a question for John.など)
ファシリテイタ―としての私の大きな役割は3つ。
①Agendaを準備し会議を進行する(協議の主旨の明確化)
②適任者に質問をふり、参加者のアウトプットをコントロールする
③確認事項と決定事項の明確化(コンセンサスを図る)
大手グローバル企業との商談の場合に求められることは下記3つ。
①迅速に
②的確に
③結果を出す
です。
大手グローバル企業が顧客の場合、彼らとの会議設定だけでも時間がかかりますし、商談の時間も限られますので(長くて1時間)、タイムマネジメントしながら、結果を出すことを求めらます。
国際ビジネス現場における、日本人にありがちな問題
国際ビジネス現場において、「違和感を感じた日本人の会議参加の仕方」がいくつかあります。
一番気になったのは、
〇目を見て話さない(チラ見)
〇会議での反応が薄い
〇会議で質問も意見も出ない
この3つです。
わたしは長年オーストラリアにいたこともあり、感覚的なところがウエスタナイズされているところがあります。
わたしは人と話をするときは、相手の方向にまっすぐ体を向け、相手の目を見つめて話を聞きますし、自分も話をします。
また、相手が話している時には、相槌を打ちますし、質問もしますし、意見もします。
MBAグローバリゼーションでも学びましたが、目を見つめて話をすることは、日本に限らずアジア人にとっては、一般的にあまり心地の良いものではないようです。
よって、わたしの職場の人も、基本わたしと話をするときには、ところどころ、アイコンタクトはしますが、目をそらしながら話をするのが常です。
わたしは、なかなか目をそらしながら話すというのができないので、わたしは見つめてしまうのですが、相手は目をそらすという感じです(笑)
しかしながら、国際ビジネスの現場では、目を見て話さない、反応が薄い、意見も質問もでない、というのは不信感を募らせるリスクが高いです。
おそらく、日本人の反応が薄い、意見がでない理由としては、
〇相手の説明がわからない、興味がないから質問が出ない
〇考えながら聞いてないから意見が出ない
〇シャイのためアウトプットできない
これでは、正直困るのです。
英語の聞き取りができなくて、相手の説明がわからないのであれば、話しを割ってでも、「教えて」と言わなくてはならないし、何がわからないないのかを明確に伝えて、会議に参加する努力が必要です。
責任者の場合はなおさら、その場でしっかり理解する必要があります。
遠慮して、わからないことを聞けず、わからないまま終わらせるのは、会議に出ている参加者の時間を無駄にするのと同じことです。
それができないのなら、いっそのこと会議に出ないほうがマシです。
自分がその会議体に出席(招集される理由)をよく考えたほうがよいと思います。
国際ビジネスの会議においては、意見が出ない、反応が薄い人は、存在感ゼロです。
信頼関係を築くどころか、存在さえ覚えてもらえません。
要するに、相手にとっては、どうでも良い存在=いてもいなくても一緒です。
一言で言ってしまえば、会議室にある置きものと一緒です。
国際会議においては、自分の考えを明確にかつ的確に情報伝達(アウトプット)することがとても重要です。
話さなくても相手は察してくれるだろう的な、紳士協定のような概念は通用しません。
また、英語が下手でも、伝えたい意志がある、熱意がある人の言葉と気持ちは相手に伝わります。
一方で、英語がスムーズに話せないから、ひたすらI am sorry と謝ってばかりの人も、相手にとっては自信の無さに映り、もしくはその言葉自体が煩わしいと感じるものです。
わたしが思うに、I am sorryを連発する裏側には、自尊心を傷つけられたくない、という防御反応があるのではと思います。
もしも英語が不得意で、上手く伝える自信がないとするならば、自分が話をする前に一言前置きをしておくと良いと思います。
My English skill is very limited, but I will do my best.
(わたしの英語は上手じゃないけど、ベストを尽くします)と。
もしくは、英語が上手な人に助けを求めて、最大限その力を活用するべきです。
そうすれば、相手も理解してくれますし、一生懸命何かを伝えようとする人の言葉には耳を傾けます。
I am sorryを連発するよりも、あなたが、なんでかんで商談を成立させたい、一緒に仕事をしたい、自分の商材はとても良いものなんだと、ビジネスに対する熱意を伝えること、それが一番大事です。
あなたの想いや考えを言葉というツールに乗っけて、相手に伝える努力が大事です
また、相手方がプレゼンをしている最中に、無反応で相手のプレゼンを聴いている人を見かけますが、その姿は相手に対して無関心ととえられるリスクがあります。
一言でいうと、ものすごく感じ悪いです。
相槌をする、ok, yes, I see (はい、そうなんですね、なるほど)と、ちゃんとあなたの説明を聴いて理解してますよ、という意思表示をする必要があります。
腕組みをして、口をへの字に曲げて、相手のプレゼンを聴いているかも、と心当たりのある方は要注意です。
わたしが知っている限りでは、「おじさん」に多いです。
悪気がなくて「ただの癖」だとしても、相手にとっては感じ悪く映ります。
商談の状況にもよりますが、せめて、にこやかに口角を上げて、表情だけでも好意的に、ボデイ―ランゲージで伝える必要があります。
もうひとつ、国際ビジネスにおいてやってはいけないことがあります。
Yes, Noの意思表示を曖昧にしないことです。
照れ隠し、もしくは適当に社交辞令でYesと言わないことです。
大きな誤解を招き、トラブルのもとです。
すぐに回答ができない場合は、その旨を明確に伝える必要があります。
I cannot answer right now.
(今すぐ回答はできない)
I am not sure about it. I will check the point and I wil come back to you later on.
(その点についてはよくわからないので、確認をとり、後で回答します)
など、自身の状況について、明確に伝えることが大事です。
対面商談できない場合の商談の進め方
対面での商談が一番良いのですが、国際ビジネスの場合は、対面商談ができない場合のほうが多いです。
対面商談ができない場合は、ビデオ会議など顔を見て話すほうが、わたしとしては楽ですし、できるならばお互いの顔をみて話をしたいものです。
わたしの経験上では、アジア諸国の人たちと会話をする際には、テレビ会議よりも、メールやチャット(文字)でのやりとりのほうが会話が活発です。
背景には、英会話への不慣れがあるのかもしれません。
一方で、欧米諸国の場合は、テレビ会議で話をするほうが会話も弾みますし、また、お互い情報交換できる情報量も多く、お互いを理解し合うために使う時間も短時間で済みます。
初回のビデオ会議で、1~2時間話をすれば、だいたいお互いの企業(組織文化、強みや弱みなど)のこと、担当窓口の人柄や能力について理解することができます。
ビジネスの発展には、担当窓口同士の相性の良さはとても重要です。
よって、わたしは担当窓口の人柄や能力、そして相性を見極めるために、とにかく相手と多くのことを話をし、自分の第六感も働かせながら、長いお付き合いをするにあたり、right personかどうかを見極める作業をします。
職業柄の特性に合わせたアプローチ
また、会話の進め方は、個人の職業柄的な特性に大きく左右されるところも大きく、一般的に事務、業務、製造、開発など、どちらかというとひとりで黙々と作業をする仕事に従事している人の場合、シャイといいますか、オープンな会話に発展しづらいように思います。
こういったタイプの人に、ガシガシ質問攻めにすると、間違いなくドン引きされますし、相手も居心地の悪さを感じることでしょう。
〇テンションは低めで穏やかに
〇話すスピードは緩やかに
〇踏み込んだ質問は控える
〇クロージングは小刻みに
〇穏やかな表現で明確に
一方で、マネジメント、営業、マーケテイング、事業開拓、広報担当など、外向きの仕事で、いろんな人と話をしてコミュニケーションを通じて仕事をしている人の場合は、先方も会話のアイスブレーキングにも慣れていますし、話しの進め方、話しの聞き方、話しの間の取り方など、心得ている人も多いので、オープンな会話に発展しやすいと感じています。
こういったタイプの人たちには、わたしは遠慮なく、多くの質問をし、できる限り多くの情報を彼らから引き出す努力をします。
〇テンション高めで明るく元気に
〇話すスピードはやや速め
〇本題から入る
〇直接的に回答を求める
〇雑談やユーモアを交えながら
なかなか一概に、この場合はこういうアプローチ!という、定型の国際ビジネスコミュニケーションのアプローチ法というのはないのですが、大事なことは、まずは相手のニーズや特性を知る努力をするということだと思います。
わたしも日々勉強。
たくさん間違えることもありますし、上手くいかないこともあります。
ビジネスであっても、所詮、良縁に出会えるかどうか、それが鍵だと思います。
でも、試行錯誤しながら、あーでもない、こーでもないと、失敗しながら、工夫を積み重ねていくことが、「良縁への近道」であると信じて日々仕事をしています。
皆様にとって、良縁多き人生でありますように。
byちびまる