わたしのチームメイトは他国の外国人
わたしの仕事は海外市場の開拓。
自社で持っている商材を日本以外のあらゆる国々の人々に買ってもらって、
〇会社に利益をもたらすこと
〇商材・サービスを通じて社会貢献すること
がわたしの仕事です。
海外市場の開拓や営業&マーケティング活動をするのは、社内的には、わたしひとり。
なのですが、、、
残念ながら、わたしは何のエキスパートでもなく、言ってみれば、普通の40代半ばのサラリーウーマンなので、わたしひとりの力では、ほとんど何もできません。
なので、社内・社外の多くの人たちに助けてもらいながら仕事をさせてもらっています。
もちろん、社内のチームメイト、管理部門からはじまって、開発、製造、業務、販売サポート、ITなどなど、いろんな部門の人たちに、あれこれと必要なことをお願いをして協力をしてもらう必要はあるものの、海外市場開拓にあたり、諸外国の人たちと、ざっくばらんに英語で商談ができるのは、わたしだけなので、結構、これが忙しい。
経営陣も含め、他の社内スタッフにとっては、言語の壁はもちろん大きな要素ではあるのですが、それよりも、考え方や物事の捉え方が、それぞれの国のバックグラウンドで結構違ったりするので、それは、おそらく、実際に諸外国の人たちと、どっぷり仕事をした経験がなければ、なかなかわからない感覚なのかもしれません。
幸いわたしは、移民大国オーストラリアに11年も住んでいた経験もあって、多国籍文化の人々と仕事をすることに慣れているので、基本的になんでも、あれこれ頼まれちゃうわけです。
わたしの主な業務は、
〇外国企業との商談・折衝
〇諸外国代理店との関係づくり
〇諸外国が絡む案件全部、もろもろ(この、もろもろが多い)
をやりながら、海外市場で売上を伸ばすこと・利益を出すことです。
これがわたしのミッションです。
この大きなミッションを実現するには、どうするか。
業界内の専門的な知識に乏しいわたしは、自分以外の能力を総動員して、それらを最大限に活用するしかありません。
そのためには、海外のターゲット市場において、
〇能力が高いリソースを見つける(主に人材)
〇能力が高い人が持っている力と情報を最大限引き出す
〇能力が高い人と関係を構築し、味方につける
〇社外にチームを構築し、自社(と自分)のために働いてもらう
ということを実現する必要があります。
そんなわけで、わたしの毎日のほとんどは、海外のターゲット市場で、自社のために働いてくれる代理店の人たちと、なんだかんだと話をしながら、自社の商材を通じて、お互いの会社に利益をもたらすために、お互いの能力やリソースを使いながら、営業&マーケティングの活動をして過ごしています。
「お互いの顔見て話す」を最優先にする
地球は、自分が想像しているより、意外と大きい。
実際に、海外のターゲット市場に、わたし自身が出向くこともありますが、所詮、物理的には、わたしのカラダはひとつ。
どらえもんのどこでもドアのように、扉を開いて足を一歩踏み入れれば、目の前は外国、なんていうことが実現できるのであれば、まるで、ちょっとそこまで、もしくは、ちょっとトイレ、というように、頻繁に諸外国の代理店と顔見て話ができるのでしょうが、今のところ現世では、まだそれが実現できていません。
月に1回、地球を西に行ったり東に行ったりするだけでも、結構な時間と労力がかかり、そして費用もかかるという問題もあります。
でも、わたしは、face to face でお互いの顔を見ながら、なんだかんだと、代理店の社長や営業&マーケティングスタッフと話がしたい。
メールではなく、実際に会話がしたいのです。
もちろん、メールも大事なツールです。
毎日わたしのメールボックスに入ってくるメールの量は50通以上。
そのほとんどが英文メールなわけですが(それも長文だったりする)、それに対応するだけでも、結構な会話量になるので(読むだけでも一苦労)、わたしのラップトップのキーボードは2回壊れ、社内で唯一わたしだけ、外付けのキーボードをあてがわれている状態です。
会社用、自宅用(これは自己負担)、そして外出用としてコンパクトなキーボードと、わたしは、キーボードを3つも持ってます^^;
そんなに強くタイピングしているつもりはないのですが、なぜか、いつも、AとNとJあたりが、抜けかけの歯のようにぐらつき、最後にはぽろっと取れてしまいます。
そうなると、ブラインドタッチでのタイピングが難しくなる・・・
そこで感謝したいのが、素晴らしい文明の利器。
無料ビデオ通話のスカイプを最大限活用
スカイプIDを送って、ポチっと承認ボタンを押せば、世界中の誰とでも一瞬でつながることができて、すぐに顔をみて話ができるスカイプの存在は、わたしの仕事環境において、なくてはならない存在です。
大手企業の場合は、セキュリティの問題などで、無料のスカイプサービスを利用できない会社が多いのですが、中小企業の場合は、ほとんど問題なく使えます。
この気軽さのおかげで、仕事のスピード感をあげることができます。
時々、接続が悪い場合もありますが、ほとんどの場合、1~2時間、長い時で3時間ほどずーっと、ビデオ通話で話をしていても、問題なく話しができるので、ありがたいです。
万が一、接続が悪くて、こりゃ、今日はダメだわ!という場合は、相手にも、「こりゃ、だめだね、明日にしよっか?明日も同じ時間で空いてる?」と聞いて、その場で再度会議のスケジューリングをしてしまいます。
このハンディさとスピードが、中小企業で働く、中小企業と働く、面白さにつながります。
電話会議よりも、やっぱり、相手の顔をみて話をするビデオ通話のほうが、ずっと話やすいし、関係構築もしやすく、仕事の進め方も早いです。
なので、わたしは、まだ会ったことのない初めての相手であっても、すぐに、「スカイプで話そうよ!」と相手にもちかけて、まずは、ざっくばらんに話しをすることを最優先にします。
メールで何度も行ったり来たりと確認するのは、時差の関係もあるので、時間がかかります。
この往復文書(メール)が結構負担になりますし、無駄なやりとりが多くなるので、なるべく口頭で話をして要件を済ませ、無駄なメールのやりとりを端折ることにしています。
あれこれ話して聞いちゃったほうが早いし、1時間でも話ができれば、たいてい知りたいことは全部わかるし、何より、すぐに次のステップに仕事をすすめられます。
口頭で話せるということは、誤解の種も早い段階で摘むことができるので、より仕事を的確に迅速に進める事が可能となります。
スカイプビデオ会議では、
〇相手の人柄
〇相手の仕事の進め方
〇どんな会社なのか
〇どれだけ市場を知っているのか
〇どれだけ人的リソースを持っているのか(主に営業とマーケ)
〇どれだけ人的ネットワークを持っているのか(顧客へのアクセス)
〇どんな営業スタイルなのか
〇どれだけ商材を売る能力があるのか(マーケティングも含めて)
など、一緒に仕事をしていく上で、わたしが一番重要視している情報をダイレクトに聞くようにしています。
そうすることで、時短が可能となります。
一緒に仕事をチームとしてやっていけるかどうか、相手との相性を見極めるというのは、とても大事です。
ウマが合わない人と、一緒に仕事をしようと、どんなに努力しても、あんまり上手くいきません。
早い段階から、この人とはフィーリングが合わない、仕事の進め方、スピード感が合わない、と思ったら、早い段階で見切りをつけて、次にいきます。
社内の人の場合は、「はい、次」という訳にはいきませんが、社外との取引の場合は、契約を持って関係を終了できます。
全ての人と仲良く、上手くやるなんて、考えるだけで時間の無駄です。
自分の人生の時間は、いつまでもあるわけではないので、自分の時間をより良く使うのは、自分の人生に責任を持つことと同じことです。
わたしのまわりにいる人全員を、ハッピーにすることはできません。
その人以外に他に誰もいないというなら、一生懸命一緒に働く努力をしますが、世の中には何億という人が生きているので、その中から、自分と合う人を見つけることに時間を使ったほうが得策と思っています。
時差があっても全然へっちゃら
よく聞く巷の話しでは、諸外国のチームと一緒に仕事をしたり、もしくは取引先と商談するのは、時差があるから大変!ということです。
大変という人に話を聞くと、たいてい、相手が指定してくる時間に合わせて無理をしているケースです。
わたしが頻繁に会議をする相手は、ほとんどが欧米諸国で、昼と夜がひっくりかえって、タイムマシーンにのらないと?と思うぐらい、日本とはぜんぜん違う時間帯で生きている人たちです。
なのですが、わたしは、基本的に、相手に合わせてもらっちゃいます。
わたしのワガママ、自己中が、ここで大きく力を発揮します。
わたしの都合が良い時間帯で、会議をするように仕向けます。
だから、時差があっても、わたしは全然大変じゃないです。
例えばですが、、、
わたしの勤務時間は朝8時~17時。
基本的には、その時間内に話ができるように仕向けます。
北米の代理店営業とは、それぞれの営業マン(個々人と)は毎週会議をしていますが、
独身の若手の営業マンAさんとは、
わたし(日本)8時~
相手(USA)17時~
2児のママだけどバリバリのキャリアウーマンのBさんとは、
わたし(日本)11時~13時の間
相手(USA)20時~22時の間
と、個人主義のUSA代理店相手の場合は、それぞれの営業マンの性質に合わせて会議の時間設定や進め方をしています。
独身若手の男性営業マンAさんは、基本的には自分で自由に時間が使えるので、いつでもOKだと思うのですが、彼はできれば早く仕事を切り上げてジムで運動したり、遊びに出かけたいので、先方の夕方17時~18時頃にサクッと30分ぐらいで終わらせます。
週に一回チャットをすれば、30分もあれば十分に事は足ります。
2児(2歳と5歳の女の子)のママであるキャリアウーマンのBさんは、まずは、ちびちゃんたちを車でピックアップし自宅に戻り、ごはんを食べさせ、お風呂にいれて、寝かしつけてからのほうがゆっくり時間がとれるというので、彼女がひと段落したところで、スカイプしてくる、という感じです。
会議というと堅苦しい感じではなく、「どう?元気?何かある?」といった感じで、特に何にも仕事の話しじゃなくても話しをするようにして、相手との関係構築に時間を使っています。
時間を使うといっても、30~1時間ぐらいです。
特に仕事上で、新しい情報や話がなくても雑談でもいいんです。
週末にフットボールをみにいって、自分のチームがボロ負けして最悪だった!だの、子供が風邪ひいちゃって、てんてこまいで大変だとか、大雪が降ったよだとか、火山が噴火したー!とか、ほんと、どーでも良い話しでも、なんでも良くて、仲良くなれればそれでいいと思っています^^
仲良くならないと、彼らが持っている市場の情報は出てこないし、わたしのために働いてはくれません。
もちろん、仕事の話を真剣にしなければならないときは、仕事一辺倒になる場合もありますが、わたしの場合は、仕事の話し半分、残り半分は雑談をするようにしています。
わたしの経験上での感覚ですが、雑談が多いほうが、人間関係、信頼関係の構築は上手くいきます。
とは言え、お互いプロフェッショナルな立ち位置を忘れずに、お互い言わなきゃいけないことは言い合い、線引きもピシッとすることで、なーなーになることもなく、程よいビジネス&フレンド関係を維持することができます。
諸外国の人々と働く大変なこと
通訳をしながら、トップ同士の商談をまとめなければならない
これぞ、ザ・ジャパニーズ!というの当方の経営陣(英語は、さっぱりわからず)と、諸外国の人達との間にはいって、商談をまとめることは、結構大変です。
何が大変かというと、全然英語がわからない経営陣数名と、英語しかしゃべれない外国人の間に入って、意思の疎通ができるのは、わたしだけなので、わたしは、通訳をしながら、キーマンとして商談をまとめること(こっちが本業)をやらなければならないことです。
技術的な話しが入る場合は、事前に先方からプレゼン資料を入手し、私宛にまずはプレゼンをしてもらう段取りをします。
そこで、相手が伝えたい内容を理解します。
その時に、これはいいね、これはいらないね、など、プレゼンをスリム化します。
よくあるのが、何十枚もパワーポイントのスライドを準備してくるケース。
説明に終始してしまい、建設的な商談に至らないままTHE END なってしまわないような工夫が必要です。
スライドは多くても15枚程度、そして、できればスクリーンを使わずに、ペーパーベースでon the table (テーブルの上に紙を置いて)で、相手の顔を見ながら話してもらうように仕向けます。
そうしておくことで、1~2時間という短い商談時間の中で、話しをまとめやすくなります。
わたしの商談をまとめる戦略としては、まずは、相手方のトップやキーマンと仲良くなり信頼関係を構築することです。
「わたし」という個人を信頼してもらってから、今度は、商談が上手くいくように、相手に協力を仰ぎます。
協力を仰ぐときは、
〇当方の経営陣の特徴と傾向
〇日本のビジネスマンの商習慣
を先方にお伝えした上で、当方の経営陣に心を開いてもらえるような働きかけを、相手方のトップと一緒に戦略を練ります。
たとえば、
〇日本人がプレゼンを聴いている時の反応は薄い(だから、気にしないで)
〇目を見て話さないのは普通(チラ見、だからね)
〇yesじゃなくてもyesを言ってしまうこともある(社交辞令だからね)
みたいなことを早い段階でプレゼンをする人に伝えておいて、自分が拒否られているわけではないということと、悪気があって無反応なわけではないということを理解してもらいます。
また、お互いの会社案内は、商談の前に済ませておきます。
そのほうが、時間を無駄にしなくて済みます。
また、あらかじめ、商談の落としどころを、事前に先方の相手方トップと交渉をしておき、お互いに WIN WiNの結果になるような段取りをしておきます。
わたしの経験上では、ウエスタンの人たちのほうが、ダイレクトに正直に話をする傾向にあるので、お互いの利益の一致が確認できれば、話しが早く、商談がスムーズに進むことが多いです。
何を伝えたいのか、反応がよくわからない日本勢を味方につけるより、商談相手の外国人を味方につけちゃったほうが、話しは早いです。
テリトリー争いは、いつの時代も一緒
ネットがこれだけ普及し、誰もがどこでも照会や注文を出せる時代。
地球というまぁ~るいプラネットを、国別にテリトリーにわけるのは、正直一番大変なことかもしれません。
地域の権利争いは、いつの時代も、どこの地域においても、いつも争いの源。
それは、ビジネスの世界でも一緒です。
1つの大きな大陸が1の国の場合は、例えばUSAや中国は、まだやりやすいです。
あなたの販売テリトリーはここまでよ、と決めやすい。
でも、取引先相手がグローバルネットワークを持っているとなると、これまた、難儀なんです。
彼らは、全世界の販売権を欲しがります。
それも独占販売権をちょーだい、と言います。
取引してみて、はじめてわかったことですが、グローバルに支店や二次店を持っているといっても、そう簡単に、ものが売れるわけではありません。
グローバルネットワークを持っている大きな会社は、自社製品をもちろん持っていますから、最優先は自社製品の販売です。
導入品は二の次です。
優先順位が低いってことは、販売に費やす時間も努力も劣るということになります。
Webサイトに製品を掲載するだけ、パンフレットを配るだけで、売れる製品なんて、そうそうないです。
よっぽどのブランド力とユニーク性、そしてユーザーの想像を大きく超える、あっと驚く感動を与えられる商材でない限り、地道な営業&マーケティング活動を重ねるのが常です。
でも、大陸続きで、多くの諸外国がかかわるヨーロッパ(特にEU)の場合は、結構難儀。
ヨーロッパの市場は、いつも、わたしの頭を悩ませています。
たとえば、ドイツ、オランダ、ベルギー、ルクセンブルク。
大きく分けて、ドイツとベネルックス(オランダ―、ベルギー、ルクセンブルク)と、テリトリーを分けることはペーパーベース(契約ベース)では可能だけど、わざわざ商機を狭めるのもなんだなーと思ってしまい、結局テリトリーが大いにかぶる状態が発生します。
ヨーロッパの場合、外国といっても隣国(立地次第で、下手すりゃ5分も歩けばお隣さんの国に入国できちゃう)だし、EUで通貨も同じだし、結構簡単に顧客もかぶっちゃったりして、価格競争にもなり、テリトリー争いに発展しやすいのです。
そして、彼らは決まって主張が強い。
わたし自身も主張が強いので、まぁ、気持ちもわからないではないんですが、EU諸国において、いくつかの国々の取引先との関係は、上手い具合に手綱を引いて、あちこちから飛んでくる主張の矢を上手くかわしながら、バランスをとって付き合う必要があります。
さまざまな国のお国柄や国民性、そして、取引する企業の風土や、個々人のバックグランドや性格など、いろんな要素が絡み合った中で、諸外国の人たちと仕事をしていくのは、楽しさ反面、大変な部分もたくさんあります。
今日もまさに、オランダとスウエーデンの取引先の板挟み、そして、当方の経営陣とUSA企業との板挟み、あちこちから、むぎゅ~っ!と板挟みされっぱなしですが、大変よりも、楽しさのほうが大きいので、なんとか、うま~くすり抜けながら、仕事しています。
深刻になり過ぎず、こちらも主張することは主張しつつ、笑顔で、明るく、元気に今日一日を乗り切りま~す^^
皆様にとっても良い一日でありますように。
byちびまる