空飛ぶちびまる (自由気ままに)

おひとり様女子のエッセイ

MENU

会社という組織で上手く生きられない人たちの生きる場所「働き方」について考える。

スポンサーリンク

広告

 

兄が仕事を辞めました。

 

職場の人間関係が問題で、精神的に病んでしまった兄が、先週1か月ぶりに復職したのですが、復職3日後に母から突然のメールが届いて、「お兄ちゃん、いろいろあって、仕事辞めることになったから」と連絡がありました。

 

1ヶ月前に、わたし宛に直接兄からSOSの電話があり、わたしなりに、会社の人事と調整して、いろいろ環境を整えることに協力したつもりでいたけれど、結局、上手く行きませんでした。

 

先週、復職できることになったと、兄本人から喜びの電話を頂いたばかりだったのに、私自身、あまりのショックで、頭も心も追いついていきませんでした。

 

「どうして」という、悔しい気持ちでいっぱいに。

 

思わず、涙が出てしまいました。

 

会社の人事の人も、よくしてくださって、たくさんお世話になって、兄の希望で、職場内での配置転換もして頂いて、上手くと思っていたけれど、甘かったです。

 

母もわたしも一安心していたのですが、まさかの配置転換先で、まさかのトラブル。

 

母が兄より聞いた話では、これまで信頼していた同僚が豹変し、親切だった人が、急に兄に対して当たりが強くなり、半ばイビリ(いじめ)に近い状態に陥ったという。

 

まさかの展開で、本人も家族も全員ショックを受けました。

 

どうやら、今回、本社の人事部に直接話をしたことが裏目に出てしまったようです。

 

それは、わたしの判断でした。

 

そのことが職場中に知れ渡り、「また本部に言いつけるのか?」と、職場の同僚に激しく責められたとのこと。

 

正直なところ、本部の人が兄の問題を対応したこと自体、職場の社員に知れ渡ったこと自体が問題と思いますが、わたしとしては、これ以上、会社に対して何か物を申すことはしません。

 

なぜなら、わたしも母も、その現場を実際には知らないので、真実はわからないからです。

 

会社側の対応に問題があったかもしれないし、そもそも職場でいじめの対象になってしまっていたのかもしれないし、兄の仕事ぶり、言動に問題があったのかもしれません。

 

わたしが事実と言えるのは、兄がまたパニックに陥り体調を崩し精神内科にかけこんだということ。

 

兄を30年間近くで見てきた母の判断で、仕事をその日で辞めさせる運びになりました。

 

今回の一件、わたしも母も天から地に落された気分でショックですが、一番ショックを受け苦しんでいるのは兄です。

 

兄はわたしにも連絡できる状況ではなく、わたしも兄には当面の間、直接連絡はしないことにして、兄のことは母に任せました。

 

心が痛いです。

 

精神を病むということ

 

わたしは精神を病んだことがないので、兄の苦しみはわかりません。

 

わからないだけに、親族としては、辛いものがあります。

 

どうしてあげることもできない、無力です。

 

なんとか、慣れ親しんだ職場で、安心して働ける居場所を確保してあげたかったし、これまでどの職場にも馴染めなかったということを克服して欲しかったのですが、どうにもなりませんでした。

 

無念の一言です。

 

兄のメンタリティを理解してあげられない自分がいることは、否めません。

 

でも、なんとか、まずは元気になって欲しい、それを願うばかり。

 

自立して生計を立てられるのか

 

一番心配なのは、兄の心身の健康ですが、一方でやはり今後の経済面が心配です。

 

同居して兄を支えてくれている母は78歳、わたしは遠方だし、母も年齢的に、せいぜい生きてもあと10年ぐらいでしょう。

 

そう思うと、兄はこの先、どうやってひとりで、生活していくのか。

 

兄にはなんとか自立して欲しいし、幸せに、自分らしく、健やかに生きていて欲しい。

 

妹としては、ただそれを願うだけです。

 

わたしがもっと稼いで、兄の生計を助けるというのもひとつですが、きっと、兄自身、それは嫌だろうなと思うから、なんとか、自分の生きる道を見つけてほしいです。

 

ギター教室をやりたい

 

兄の人生になくてはならないもの。

 

それは音楽です。

 

音楽なしには生きられない、兄はそう言います。

 

高校生の時に、母に買ってもらったフォークギターを独学で学んで、どんな曲でも弾ける兄。

 

自ら動き、市の施設に出向き、ギター教室を趣味の延長線上で始めた兄。

 

ここ1か月は体調を崩してお休みしてしまったけれども、数年間ずっと続けていて、生徒さんも増えつつあります。

 

「ギター一本で生きていきたい」と電話をかけてきた兄。

 

普通に考えれば、そんなの無理、生計はとても立てられない、と思ってしまいます。

 

「お兄ちゃん、それは趣味にとっておいたほうが良いよ、生計を立てるのは無理があるよ」と、1ヶ月前に兄が「仕事を辞めたい」と言ってきた際に、わたしは兄にそう言いました。

 

でも、今考えると、それは、わたしの価値観であり、兄への押し付けだったのではないかと反省しています。

 

兄の生きる道

 

兄が自らやりたいといったギター教室のお仕事。

 

ひとり月額2,000円ぐらいないので、ギター教室からの月収はせいぜい1万円程度。

 

これだけでは、とても食べてはいけません。

 

でも、もしかしたら、ギター教室の横展開する道があるのではないか。

 

会社という組織で上手く生きられない兄。

 

でも、おじいちゃん、おばあちゃん、おじさん、おばさんには、人気があるというか、慕われます。

 

きっと、兄は優しいからでしょう。

 

その穏やかな雰囲気に、ほっとするというか、親しみやすさを感じるのでしょう。

 

自らプランして、ギター教室を開いて、生徒さんに喜んでもらうことは、それは兄自身も楽しいし、嬉しいこと。

 

妹として、もしかしたら、兄がやりたいと言っているギター教室のお仕事を応援してあげることが、一番の応援になるのではないかと、今更ながら思ったりしています。

 

母も、それだけでは食べてはいけないと思いながらも、それでも、普通の会社では上手く馴染めなくて苦しんでいる我が息子が、嬉しそうに、楽しそうに取り組んでいる姿、そして、生徒の皆さんが喜んでくれている姿を見ると、やっぱり、応援したいのだと思います。

 

兄は普通の会社員にはなれなかったけれど、そして、そんなに稼げないかもしれないけれど、それでも、兄が生き生きとして、周囲からも必要とされ、小さい社会の中でも「価値」を生み出せているとするならば、それは、それで、とても美しく尊いものであり、家族として応援したい。

 

ひとは、それぞれ、得意、不得意があって、また、優れているところと、ダメなところがあって、それを自分自身が理解しながら、周囲の人の支えに感謝しながら、生きられる場所があるとしたら、それは、なんとか守ってあげたいなと思います。

 

もっと、優しい社会になると良いですね。

 

と言いながらも、わたしは自分の仕事では、会社を回す側の人間であり、個々人のパーソナルな心情をあまり汲み取り過ぎることができない立場なので、常に、心に葛藤を抱えて生きています。

 

正解がないからこそ、難しいし、また、その人、その人の立場で、利害も発生し、考え方、価値観、守るべきものも異なってくるから、本当に難しい問題です。

 

働き方について考える

 

今世の中的に、いろんな働き方ができるようになってはきているものの、それでも、やはり組織に属すると、それなりにルールにも縛られ、また、人間関係、しがらみと共に、日々を生きていかなければなりません。

 

それは、きっと、自営業であろうと、フリーランスであろうと、結局、他人が対価を支払うわけだから、人との関わり合いが出てくるので、どんな形であれ、人間関係はつきまとってくるもの。

 

それでも、ある程度、自分の裁量でお仕事するケースと、上司の指示に従ってお仕事をするケースとでは、向き不向きがあるのかもしれませんね。

 

兄の場合は、もしかしたら、小さいながらも、自分ひとりで回すお仕事のほうが、向いているのかもしれません。

 

ひとまず、まずは、ジェットコースターのように、上がったり沈んだりする精神状態を安定させて、毎日を平穏に生きられるよう、わたしは祈るしかありません。

 

母には「あなたは、あなたの仕事、やるべきことに集中しなさい。お兄ちゃんのことは、お母さんが傍にいるから安心しなさい。」と言われたので、母の言葉に甘えて、わたしは、わたしがやるべきことをまずやることにしました。

 

今日は母の日。

 

78歳という老体に鞭を打ちながら、団地の会長をやったり、草むしりもやったり、毎日買い物、お料理、お洗濯、お掃除をしたり、その上兄の問題も全部抱えてもらって、ほんと、頭があがりません。

 

母には、せめてもの罪滅ぼしと「ありがとう」の気持ちを込めて、ピンクのカーネーションを贈りました。

 

もう少しだけ母には甘えさせていただいて、わたしはわたしで頑張ろう。

 

お兄ちゃん、早く元気になぁ~れ☆彡

 

by ちびまる