プレゼンの目的を考える
わたしはMBAコースのプレゼンテーション(プレゼン)能力を身につける科目において、プレゼンの目的、そしてメッセージの伝え方や見せ方など、プレゼンについて多くのことを学びました。
プレゼンテーションをする目的はなにか。
簡単に言えば、
自分が伝えたいメッセージを、
伝えたい相手に明確に伝え、
その相手から共感を得て、
自分が欲しい結果を出す
それがプレゼンの目的であると、わたしは考えています。
言葉でいうのは簡単ですが、目的を達成するのは、とても難儀なことです。
ビジネス現場の場合、プレゼンする目的は、
〇決裁・承認
〇商談の成立
〇ブランディング
が多いのではと思います。
限られた時間(たいてい30 ~1時間)の中で、プレゼンを通じて、プレゼンを聴いた相手の方に、対価以上のリターンがあるということを感じて頂くことができなければ、目的を達成することはできません。
プレゼンを聴く人の立場にたって、自分の頭の中にあることを、明確にビジュアル化し、かつ、プレゼンを聴く人の心の扉を開いて、メリットがあると感じてもらう必要があります。
聴き手の立場で考える
自分の伝えたい思いが強ければ強いほど、独りよがりなプレゼンに陥りやすく、プレゼンを聴く側の立場にたってプレゼンの構成を行い、結果を出すのは難しいものです。
わたし自身、まだまだプレゼンが上手いとは言えないですが、なるべく聴き手に伝わるプレゼンを心掛けるようにし、結果を出せるように工夫をしています。
日本人のプレゼン資料作成において、よく見かけるプレゼンの失敗例の特徴がいくつかあります。
プレゼン資料作成の失敗例
文字が小さすぎる
プレゼン資料を作る際には、デスクに向かてパソコンで作成することが多いと思います。
その距離は、だいたい30cm程度でしょうか。
しかし、実際にプレゼンを行う際には、プレゼン資料を映し出すスクリーンから、聴き手までの距離は、会場の規模にもよりますが、数メートルから数十メートルと、ずっと距離があります。
その距離感を考えずに、プレゼン資料を作成してしまうと、スクリーンに映し出される資料の内容が全然見えない、読めないほど小さなフォントサイズの文字になりがちです。
結構多いなと思うのは、自分が通常、ワードやエクセルなどで報告書を作成するフォントサイズ10~12ぐらいの文字設定で、プレゼン資料を作成しているケースです。
そのぐらいの文字サイズで、実際にスクリーンに資料を映し出してプレゼンする場合、会場にいる人には、そのプレゼン資料の文字は、小さすぎて読めません。
聞き手が読めない資料をスクリーンに映すぐらいなら、何も資料が無いままに、お互い顔を見ながら話すほうがずっとましです。
読めない資料を見せられる側としては、書いてあることが読めないので、要点がわからないのでイライラしますし、正直なところ、プレゼンを聴いていてもつまらないですし、時間の無駄と感じてしまいます。
プレゼンで使う文字のフォントサイズは、数十メートル遠い場所でも容易に読めるサイズ、少なくとも24ポイント以上であって欲しいものです。
また、誰にでも読みやすいフォントタイプや、ビジネスにふさわしいフォントタイプで統一できれば、よりプロフェッショナルなプレゼン資料にまとまります。
スライドを埋め尽くす
プレゼンをする側としては、なんとか結果を出したいということもあり、持ち合わせている情報を全て伝えたいという思いに駆られます。
その思いに任せて、スライド全体にビッシリと文字や表、そしてグラフなどを隙間なく挿入し、詳細に情報を盛り込みすぎると、そのスライドからのメッセージの要点は何なのかが見えてきません。
要点が抑えられないので、聴き手には何も響かない=欲しい結果が得られない、という残念な結果になってしまいます。
もちろん、要点の根拠はサポート資料として準備したほうが良いですが、質疑応答の際に、さっと答えられるようにしておけばよいだけで、その情報すべてをプレゼン資料に盛り込む必要はありません。
1スライドにつき要点は1つに絞り、その要点がわかりやすいように、スライドに余白を残しておくことも大切です。
意味のないイメージを挿入する
日本人は沈黙も好まないですが、プレゼン資料の余白を残すのも苦手ではないでしょうか。
時々、あまり意味のないイラストやイメージを入れて、余白を埋めるために飾り付けをするプレゼン資料を見かけます。
という私も、以前は余白が気になって、意味のない画像やイラストを挿入していましたが、無駄ということに気がつきました。
意味のないイメージの挿入は、全体的な要点をぼやかしてしまうし、プレゼン資料を安っぽくしてしまいます。
ハイライトが多すぎる
やたらと太文字にしたがる、赤や青など文字に色をつけたがる人がいます。
わたし自身も、ついついハイライトしたいことが多すぎて、結局、太文字や色を派手に入れすぎる傾向があります。
ハイライトする箇所が多くなると全体がぼやけますし、文字をカラフルに装飾してしまうと、プロフェショナルに欠けるプレゼン資料となってしまうという問題があります。
こちらの問題も、伝えたい気持ちが強すぎて、聴く側の気持ちを見失っている典型的な失敗するパターンと思います。
なぜ太文字にする必要があるのか、なぜ赤文字にする必要があるのかなど、ひとつずつ意味を考える必要があります。
わたし自身も、まだまだこの点が下手で、いつも試行錯誤しながら、プレゼン資料を作成しています。
スライド枚数が多すぎる
通常は、プレゼンに与えられる時間は、短い時で15 ~20分程度、長くて30 ~60分です。
プレゼン時間を考慮せず、とりあえず、必要かなと思うスライドを作り、気がつけば20枚も30枚もスライドを作ってしまうことがあります。
実際に、作った資料を使って、事前にプレゼンの練習をしてみると、与えられた時間に対して、いかにプレゼンのスライド枚数が多すぎるかがよくわかります。
その場合、プレゼンの練習をすると、まず、時間内に話し終えることができません。
与えられた時間内に、しっかり間を取りながら、プレゼンができるスライド枚数に絞ることが重要です。
また、プレゼンのスライド枚数が多いということは、情報を受けてる側にとっても負担です。
タイトルのレベルが合わない
スライドのタイトルをつける際に、大見出し、中見出し、小見出しをつけて、わかりやすくプレゼン内容をまとめる必要がありますが、見出しのレベルが合ってないと、プレゼンの流れを見失ってしまいます。
タイトル(見出し)のつけ方には、一貫性とロジックが必要です。
プレゼンの構成(流れ)が不明瞭
プレゼンを終えた後、聴き手にどんなアクションを起こしてほしいのかを考えず、また、目的を考えないまま、プレゼンの流れを構成せず、ただなんとなく、自分が持ち合わせている情報をスライドに盛り込んでしまっているプレゼンを見かけます。
こういったパターンの場合、スライド枚数も多くなり、話しも脱線し、長くなる場合が多いです。
結論(クロージング)がない
プレゼンをず~っと聴いて、最後のスライドまで話し終えても、「要するに何?」と、結論がないまま、プレゼンを終了するケースを時々拝見します。
プレゼンの内容にもよりますが、
要するに、
〇 何が問題なのか
〇 どんな解決方法があるのか
〇 解決には何が必要なのか
〇 どんなメリットがあるのか
〇 何の承認を得たいのか、など
プレゼンのクロージングをせずに、ただ、現状報告や状況報告に終始するプレゼンでは、そのプレゼンの先には何があるのか、プレゼンの目的や意図がわかりません。
もちろん、現情報告だけのプレゼンというケースもあるとは思いますが、たいていの場合は、その先の提案や、だからどうするの?、だから何なの?、ということも含めてプレゼンを行い、その場に居合わせる聴き手と協議をするケースが多いと思います。
また、日本人が作成するプレゼン構成の多くは、最後の最後に結論を持ってくる場合が多く、何についてのプレゼンなのか、明確に示されないまま、いきなり詳細説明に突入するケースをみかけます。
プレゼンの目的と結論を先に話し、その後に、背景や詳細を根拠として説明し、最後にプレゼンをした結果、何を得たいのかを明確に伝えるほうが、聴き手にとっては要点を抑えやすいと思います。
プレゼンの進め方(話し方)の失敗例
話しが長い(深堀りし過ぎ)
スライド枚数が多いと、結局、与えられた時間内に話しがおさまりきらず、時間をオーバーしてしまう人がいますが、タイムマネジメントを考えないまま、細かいところから話はじめ、さらに細かい話を深堀りしてしまい、話しが長くなる人がいます。
人が集中して話を聞いていられる時間は、長くて60分だと思います。
それ以上になると、よっぽど面白い話、もしくは自分が興味ある話でない限り、ただ話を聞いているだけでは、完全に飽きてしまいます。
入ってくる情報量が多すぎると、結局、何を言いたいのかよくわからなかった、何も印象に残らないという状況に陥ります。
20分~30分ぐらいが適切なプレゼン時間ではないかと思います。
時間配分への意識が低い
わたしは、プレゼンをする場合は、まずは先に一通り話をさせて頂き、その後に質疑応答の時間を設けることで、時間をコントロールするようにしています。
プレゼンの時間は短く切り上げ、まずは要点を明確に伝え、追って質疑応答で、聴き手側の疑問点を解消する必要があると考えています。
聴き手に「質疑応答はプレゼンが終わってから受けます。」と、明確に事前に伝えておけば、話しが脱線することもなく、プレゼンが短くて済みます。
タイムマネジメントを全く考えないまま、プレゼンの途中で質問し、延々と細かいところを深堀りし始める人もいるので、そうなると要点もズレますし、話しの内容に収拾がつかなくなります。
プレゼン時間をタイムマネジメントするのは、プレゼンをする側の責任であり、その場に居合わせる人たちの費やす時間も考える必要があります。
ポインターをやたら動かす
プレゼンをしながらポインターを使うことは、スライドのどの部分を説明しているかがよくわかるので効果的なのですが、プレゼン中に、やたらポインターをスライド上で、関係ないところを、あちこちと動かす人がいます。
正直、とても気になります。
ポインターは、話しのポイント、要点がどこなのか、スライド上で明確に示すためのものなので、その名の通り、そのポイントだけを指して話をしたほうが良いです。
スライドばかり見て話す
聴き手の側に顔を向けず、ひたすらスライドだけをみながら、プレゼンをする人を見かけますが、スライドの資料はあくまでも補足のために使うものであって、聴き手と目線を合わせながら話すことが大事です。
スライドに書いてあることを読み上げるだけというのは、聴き手にとっては、とても退屈です。
声が小さい、尻つぼみになる
声が小さく、説明の最後が尻つぼみになってしまうと、自信のなさを感じ、説得力がありません。
プレゼンは演出も大事であり、聴き手をプレゼンに惹き込む工夫が大切です。
話していることがよく聞こえないと、プレゼン内容は良くても、その思いは聞き手には届きません。
抑揚が足りない
すべてが一定のリズムとトーンのプレゼンは、聴いていて飽きてしまいます。
日本人は抑揚が足りないと言われることが多いので、少し自分では大げさと思うぐらいに、声の強弱をつけたり、トーンを変えたり、強調すべきところは大きな声でゆっくりと話し、2 ~3秒の間を置いてみると、話しにリズムが出てきます。
声だけでなく、表情を上手く使ったり、ボディ―ランゲージ(手の動きなど)も取り入れると、ダイナミックにプレゼンになり、自分が伝えたいメッセージがより聴き手に伝わりやすくなります。
I am sorryを連発する
これは、外国人を相手にプレゼンをするケースに限った話ですが、英語が不得意な人によくあるのが、プレゼンの前、プレゼンの途中に、I am sorry を連発することです。
どんなに自分の英語が下手であろうと、I am sorryを言う必要はありません。
I am sorryを連発されると、聴き手としては、逆にその言葉が煩わしいと思ってしまいます。
もしも、自分が英語が下手だけど、外国人の前でプレゼンをしなければならない場合は、プレゼンを始める前に、「自分の英語はあまり上手くはないけれど、最大限の努力をします/My English is limited, but I will do my best for my presentation.」と言えば、聴き手は「この人、英語はあまり得意じゃないのね」とわかってくれます。
あとは、自信を持って、熱意を持って、プレゼンの内容をシンプルな言葉で伝える努力をするだけです。
I don't knowだけで終わらせる
プレゼンが終わり、質疑応答を受けた場合で、質問されたことへの回答を準備していない場合、「わかりません、I don't know.」だけで終わらせる人がいます。
「わからない」という回答だけでは発展性がないので、次につなげるために、「それについては、今すぐには、わかりません。即答できませんが、調べてご連絡します。/I am not sure about it. I cannot answer for the question right now, but I will research for it and I will inform you later on.」としておけば、相手も理解を示してくれます。
わたしも、まだまだ修行の身ですが、創意工夫を重ねて前進あるのみです。
byちびまる