画像:photoAC熊澤充さん
想定外は当たり前の海外出張
海外出張を経験されている方なら、「わかるー」と、言ってくれると思うのですが、海外出張中は、トラブルや想定外の出来事は当たり前にあって、想定外の出来事が起こることを想定しながら、そのトラブルと上手く付き合いながら、仕事を遂行する必要があります。
仕事ではなく、海外旅行でさえも、小さなトラブルがたくさんありますが、海外出張となれば、まぁ、上手くいかないことを前提に考えておかないと、いろんなことが総崩れになってしまうリスクもあり、ストレスが多すぎて、精神的にもたないです。
良い意味で、適当というか、完璧を求めないレイジーさというか、「なんとなかるさー」というおおらかな心で、めげない、くじけない、投げ出さない、という不屈の精神がないと、やってられない、というのが本音です。
わたしは、海外生活が長かったこともあって、それもマルチカルチャーで人種がごっちゃぜな国での生活が長かったので、
「毎日がトラブルシューティング」というのがある意味当たり前になっているので、何もないことのほうが珍しいぐらいでしたので、想定外の海外出張も比較的楽しめるほうです。
それでも、12時間以上、長い時でトランジット入れれば丸一日かかる長距離移動で、地球を半分回ったところにたどり着いた後のトラブルや、上手くいかないことは、さすがに体力的にも、精神的にも堪えます。
頼る人が誰もいない異国の地で、なんとかトラブルを解決し、仕事で結果を出すために、少しでも自分にとって快適な環境を作らなくてはならない中、しんどかったことをTop5にまとめてみました。
5位:非難の矢面に立つ
海外出張の主な目的のひとつは、会社の意向を伝える代表として、取引先との商談があります。
現地セールスと顧客まわりや展示会の仕事は、必要な情報を集め、潜在顧客とできる限り多く話をし、商談をまとめたり、案件獲得する前向きな仕事なので、それほど苦にはなりません。
また、営業活動において、顧客に怒鳴られることもないですし、険悪な厳しい場面に遭遇することも、幸いほとんどないです。
がしかし、海外代理店(取引先)とは、しばしば、テリトリーの問題や、その他利害関係のトラブルなどにて、会議にて矢面に立たされ、たとえば、1 (わたし)vs 5 (先方)など、厳しい会議の場にのぞまなければならないこともあります。
先方は、社長を含め役員や部長がずらり、こちらは、わたしひとり。
非難ごうごう、浴びせられることもあります。
欧米人の場合、ものごとをはっきり主張してくる人がほとんどですし、先方にとって不都合、気に入らないことを伝えなければならない場合、先方の怒りや、苛立ちなども全部ひとりで受けるため、時には精神期に大変なこともあります。
欧米人の場合、感情をむき出しにして、顔を真っ赤にして、大きな声で主張してくる人もいるので、その大きなエネルギーを全身で受け止めて、なんとか討論(ディベート)し、彼らと折り合いをつけなければならないので、ものすごく大きなエネルギーを必要とします。
彼らの感情と向き合いながら、論理的思考で議論にのぞむ。
そんな会議がある日は、疲労困憊です。
幸い、どんなに相手が激しく責めてきても、そこには、人としての信頼関係があるため、周囲からは、えっらい激しい口論に見えても、話が終われば、あとは普通にいつもの関係に戻れるので、ありがたい限りです。
4位:宿でのトラブルや不都合
ホテルは事前にネットで予約をして、現地清算するという流れですが、何かとトラブルがつきもの。
ホテルに到着する頃は、長距離移動の後で、疲労困憊な状態。
なんとか、スムーズにチェックインし、快適なお部屋で体を少しでも休ませ、体力温存したいもの。
がしかし、いろいろあるんです、お部屋や設備の不具合が。
例えば、
〇 部屋になかなか入れない(清掃の遅れ)
〇 電球切れてる
〇 トイレの水が流れない
〇 バスタブの栓がない
〇 リフトがない(階段のみ)
〇 周囲がうるさい
〇 枕が柔らかすぎる
〇 Wifiつながらない
〇 天井のファンがとまらない
〇 暑いがエアコンない
〇 天井から煙(電気線のショート)
〇 請求間違い、など。
疲労困憊してても、ホテルの人と交渉して、なんとか修理をしてもらったり、部屋を変えてもらったり、快適な環境を確保しなくてはならないので、その交渉と対応に体力消耗します。
3位:長時間放置in中国語
2019年に初めて中国に出張した時のこと。
中国ニューロサイエンスの展示会に、現地中国代理店と共に出展し、3日間ほど過ごしたのですが、来場者の9割が中国語Onlyで英語が通じないという、なんとも役立たずの自分に、耐えがたい時間を過ごしました。
中国の展示会では、若い学生が物(ノベルティ)欲しさに、スタンプラリーをしながら、ブースをまわってくるのがほとんどで、顧客にならない中国人の大学生相手に、スタンプラリーのスタンプをひたすら押すという時間。。。
まるで入国審査官のように、パスポートにスタンプを押すかのような時間が流れ、苦痛でした。
また、蘇州から車で高速2時間走ったところに無錫(ムチン/ウーシー市)という開発都市があって、中国代理店社長の商談にお付き合いにて、彼らについて行ったのですが、大変な目にあいました。
翌日、蘇州から新幹線で10時間かけて北京に戻り、その翌朝北京から帰国するという日程だったので、「17時頃、ホテルに戻れるなら行く」という条件でついていったのですが、ホテルに戻ったのは、なんと22時半。
5時間もオーバーし、くたくたに疲れ果てました。
朝10時ぐらいに出発し、無錫では、わたしの仕事とは直接関係しない、現地中国人との商談がメインだったため、100%中国語の会議と会食となり、わたしは完全に蚊帳の外状態で、わたし以外の人々は、話が盛り上がり、完全に宴会状態。
ある意味、現地100%中国人同士の商談を垣間見たという貴重な経験をしたのですが、わたしだけがまったく話を理解できず、非常につまらない時間を過ごしました。
自分の意思でついていったものの、「ただそこに、置物のように座ってるだけ」という時間があまりに長く、小さい子供が、母親のおしゃべりにしびれを切らすかのように、20回ぐらい、現地代理店社長の腕をつっついて、「早く、帰ろうよー、もー、かえりたーーーーい!!!」と懇願しまくり。
最後には、あまりにも退屈すぎて、時間の長さに耐え切れず、自分の機嫌が悪さが全開となってしまい、申し訳なかったなぁと思いつつも、あの、退屈な時間には、もう、これ以上耐えられなーいという限界状態でした。
もう、「二度とついていくなど言うまい」と思った次第です。
2位:騒音で眠れない
これは、世界各地で遭遇し、わたしの海外出張の悩みのうちのひとつです。
時差ボケで眠れないことはないわたしですが、騒音で眠れない日々に悩まされました。
最もひどかったのは、サンフランシスコの某高級ホテル従業員のストライキの騒動。
従業員が、賃料値上げのストライキにて、朝7時から夜22時まで、鳴りやまないバケツを叩く音、メガフォンを使い、大音量で抗議する人々の声。
同じリズム、同じ音、同じ訴えを何時間も大音量で聞かされる苦痛。
気が狂いそうなくらい、苦痛でした。
次に、サンディエゴでのこと。
隣の部屋が、パーティピープル、パーティーアニマルの黒人カップル2人組で、大音量のラップミュージック、ダンスミュージックに合わせて大騒ぎ。
何度も注意を促したが、まったく聞く耳持たず。
ホテルのセキュリティのおじさんに、「なんとかして」と頼むも、まったく静まらず。
しびれを切らして、何度か、パジャマのまま、深夜のフロントデスクに出向き、セキュリティのおじさんに抗議しようと思ったら、なんと、そのおじさん、テレビでフットボールを観戦中という・・・
「ちょっとー、ちゃんと注意してくれてる???」と聞くと、「今行くところだったんだよ、心配しないで」と、完全にホープレスな仕事ぶり。
夜中の3時ぐらいまで 静まらず、完全寝不足状態で翌日展示会の仕事に向かうという、辛い経験。
最後に、ロンドンでのこと。
ロンドン中心地からはちょっと離れた地区ではあったものの、大通りに面する角っこのボンティークホテル滞在中のこと。
朝食も美味しくて、ホテルの人も親切で、お部屋も心地よくて、ホテル自体はよかったのですが、ボンティークなホテルゆえ、防音設備も甘く、また低層のため、夜通し車の走行音に悩まされ、滞在中(3日間)、ほぼ一睡もできないまま仕事という地獄。。。
特にバイク音がひどく、窓から一番遠い、バスルームにマットレスをもっていって、床で寝ようかと思ったぐらい。
わたしは、耳栓をしながら寝ることができず、また、静寂じゃないと眠りにつけないという、神経質なところがあるため、睡眠の環境には気を使い、また、頭悩ませることが多いです。
どこでも寝れちゃう人、、、ものすごーく、うらやましいです。
1位:胃腸の不具合
これは、過去数年間、ほんと、悩まされました。
四半期毎に、胃腸内科に通い、胃薬、下痢止め、整腸剤などを少し多めに処方してもらって、海外出張先に必ず持参するという状態でした。
年に12回、西に東に、いったりきたり、ほぼ毎月のように、あちこち出張行っていたので体内時計も狂いまくりで、胃腸が完全にやられました。
もともと、そんなに胃腸が強いほうではなく、ストレスやら、疲労やらで、すぐ胃腸を崩してしまう傾向にあるわたし。
昼と夜が完全真逆の欧米に、毎月、ほぼ交互に、米国、ヨーロッパと出張していて、その間に、シンガポール、中国、韓国、台湾、香港など、アジアもまわっていたので、今考えると、体を壊して当然のスケジュールでした。
時差や疲労だけでなく、特に欧米は食事の量も多く、脂っこいものも多かったりするので、変な時間に、大量の食事、それも、慣れない食べ物をたくさん胃腸に流し込むもんだから、まぁ、わたし胃腸は、よく悲鳴をあげてました。
欧州・アジアでは水や野菜でお腹を壊してましたが、米国では、おそらく油がメインの食あたりで、胃腸をしょっちゅう壊してました。
シカゴでは、取引先に誘われて高級ステーキハウスでフルコース。
なぜか宮崎牛A5ランク、そしてホワグラなど高級食材も出て、ワインも飲んでしまったもんだから、その夜は変な冷や汗をかくほど、胃痛・腹痛・下痢・吐気。
胃痙攣のようなひどい状態で、えらい目に合いました。
わたしの胃腸はどうも、高級食材の脂身など消化できず、消化不良に苦しみます。
一番苦しんだのは、サンフランシスコでのこと。
毎晩のようにストライキの騒音での寝不足が続き、展示会3つ掛け持ち、3週間ぶっ続けでの米国出張、サンディエゴ、ロサンゼルス、サンフランシスコなど移動も激しく、毎晩外食にて、わたしの胃腸は完全にノックアウト。
悲劇は前触れもなく、突然やってきました。
米国の同僚とともに、タイ料理を食べに行き、ウサギの肉入りグリーンカレーを食べた夜のこと。
夜中にとんでもない腹痛と下痢、そして吐気に見舞われ、尋常じゃない冷や汗をかき、恐ろしくなって、ホテルフロントに助けを求めるも誰も出ず・・・。
どうしようもなくて、自分で救急車を呼んで、救急病院に救急搬送されました。
夜中のサンフランシスコの病院は、アル中やら、薬中やら、ゲイやらなんやらで、なんとも日本の病院では考えられない状況。
看護師や医師らしき人が、頭がいかれてしまった人相手に、大声で説教する声なんかも聞こえてきたりして、とても心休まる環境ではありませんでしたが、なんとか回復。
毒々しいショッキングピンクの薬を飲んで、点滴を打ってもらって、少し睡眠を取ったら、なんとか胃腸の不快感から解放され、朝がた4時頃ホテルに戻りました。
そして、チェックアウト後、10時には展示会に出向いて、その日にサンデイエゴに移動、翌日から5日間、米国神経科学学会の展示会にのぞんだわたし。
われながら、よくサバイブしたなと思います。
現地ホテルでも、夜中ひどい目に合うことはたくさんあったけど、長距離フライトの機内でも、しょっちゅう、突然、脳貧血を起こし、急激に血の気が引いて、胃腸の具合がMAX調子悪くなり、トイレの前で横たわって苦しみに耐えことも何度も経験してます。
その度、ANAのCAさんには、ご迷惑をおかけしました・・・。
脳貧血の場合は、30分ほど横になれば回復できることを経験から学んだため、飛行機に乗る際には、必ずCAさんに、そういう状況になる場合があり、床に転がってるけど、気にしないでと事前に伝えるようにしています。
また、機内でのアルコール飲料摂取は止め、また、長時間寝ることはせず、定期的に水をのみ、トイレに立ち、機内を歩き回り、ストレッチしたりして血のめぐりをよくするように心がけてから、あまり脳貧血を起こすことはなくなりました。
昨年と今年はコロナの影響で、海外出張が全面中止となり、わたしの体は体調を取り戻し、今はすこぶる元気で、エネルギーを余してます。
あれだけ異国の地や機内で具合が悪くなっても、それでも、わたしは、海外営業という仕事は好きでして、できることなら、できる限り多くの時間、現地に出向き、一次情報に触れ、世界中の人たちと仕事がしたいと考えています。
今の若い人たち(20~30代)の方々は、あまり海外出張に行きたくないという人が多いようですが、わたしは40代後半でも、海外に出ていき、新しい世界を見て、触れて、感じて、これからも過ごしていきたいなぁと考えてます。
だって、そのほうが、楽しいから。
トラブルがあったって、そのこと自体、自分の血となり肉となる経験なのだから、できることなら、いろんなことを体感してみたほうがいい。
今年海外出張に出られるかどうか、まだわからないですが、少しでも行けそうな兆しが見えれば、恐れずに外に出ていきたいと思っています。
それでは、みなさま、コロナ禍でいろいろ大変ですが、have a nice day
めげずに、くじけずに、諦めずに。
一歩ずつ、前斜め上方向に、進んでまいりましょう。
byちびまる